多汗症(たかんしょう)
多汗症(たかんしょう)は、全身に汗が増える全身性多汗症と、体の一部にのみ汗が増える限局性多汗症に大きく分かれます。
≪多汗症の診断基準≫
局所的な過剰な発汗が明らかな原因がないまま6か月以上認められ、以下の症状のうち2項目以上当てはまる場合多汗症と診断されます。
- 発症が25歳以下であること
- 左右対称に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1回/週以上の多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- それらにより日常生活に支障をきたすこと
ワキの多汗症
- シャツのワキの部分に汗ジミができて人目が気になる
- ワキから汗がツーっと流れ落ちる不快感で勉強や仕事に集中できない
こんな症状で困っている方は、ワキの多汗症かもしれません。
治療方法について
ワキの多汗症の治療法の一つに塗り薬(エクロックゲル)があります。
エクロックゲルはどんなお薬なのか?
日本で初めて健康保険の適応が認められた、原発性腋窩多汗症用の塗り薬です。
エクリン汗腺が交感神経から伝えられる汗を出す指令を受け取れないようにブロックすることより、発汗を抑えることが期待できます。
エクロックゲルの使い方について
まずはワキ汗でお困りの方は以下の項目をチェックしてみましょう
6項目のうち2つ以上の項目に当てはまる方はご相談ください。
- 最初にワキ汗の症状が現れたときの年齢は25歳以下だった
- 左右両方のワキから同じように発汗がみられる
- 睡眠中はワキ汗は止まっている
- 1週間に1回以上、ワキ汗が多いと感じることがある
- 家族にもワキ汗の多い人がいる
- 日常生活の中で、ワキ汗が多くて困る場面がある
患者さんのお悩み例
Case 1:10代 女性 学生
汗ジミが気になって手を挙げて質問することもできず、勉強に集中できない。
Case 2:20代 女性 会社員
汗ジミが気になって好きな服を着ることができないのが悩み。
Case 3:30代 男性 会社員
ジャケットまで汗ジミができるほどのワキ汗に加えて人目も気になって仕事に集中できない。
原発性腋窩多汗症
第一に保険の外用薬があります。
重症の方は、ボトックスの注射の方法も当院では準備しております。保険が適応されます。ボツリヌス菌がつくる天然のたんぱく質を有効成分とする薬をワキの下に注射します。1回の注射で効果が4-9ヵ月持続します。年に1-2回程度の治療で汗を抑えることができます。
掌蹠多汗症
2023年6月、本邦で初めて手汗の外用薬が登場しました
1日1回寝る前に手に塗布し、翌朝洗い流します
お悩みの方は、診察の上処方できます。皮膚科でご相談ください
全身性の多汗症、顔面・頭部多汗症
抗コリン薬の飲み薬が適応です。
抗コリン作用があるため緑内障のある方や前立腺肥大のある方は服用できません。その他重大な心疾患や麻痺性イレウスの方も服用できません